高収入で安定的に働くことができる薬剤師は人気の高い職種ですが、土日休みが取りにくい点がデメリットに感じられる人もいます。この記事では、薬剤師が転職によって土日休みを確保する場合のおすすめの職場について、薬局・ドラッグストア・病院・製薬会社などに分けてポイントを解説します。
週休2日制・完全週休2日制・4週8休の違い
薬剤師の休日は、勤務形態によって大きく変わってきます。週休2日制・完全週休2日制・4週8休制の違いを解説し、それぞれのメリットとデメリットを紹介します。
週休2日制
週休2日制とは、一年を通じて月に1回以上週2日の休みがあり、他の週は毎週1日の休みがある勤務形態です。毎週必ず2日の休みがあるというわけではありません。
「週休2日制(日、第2・3 土曜日)」という勤務形態の場合、日曜日は毎週休日ですが、土曜日の休みは第2土曜日と第3土曜日ということを意味します。第1土曜日や第4土曜日は出勤日になりますので、毎週2日休みがあるわけではありません。
完全週休2日制
完全週休2日制とは、毎週必ず2日の休日がある勤務形態です。完全週休2日制の休日は、企業や職場によって設定されます。完全週休2日制は、連休の場合もあれば連休ではない場合もあります。いわゆるカレンダー通りに土日祝日が休みであるとは限りません。ただし、週に2回の休みが取れる勤務形態ではあります。完全週休2日制は、製薬会社や治験関連会社などの民間企業に多く見られる勤労形態です。
- 毎週土日が休みで連休がある
- 連休ではないが、毎週決まった曜日が休み
- シフト制で毎週2日の休みがある など
4週8休制
薬剤師は、4週8休制という勤務形態が設定されていることもあります。4週8休制とは、4週間(28日)の内、8日の休みが取れる勤務形態です。シフト制では一か月を一区切りとしてシフトを組むことが多いですが、4週8休制では4週間を一つの区切りとしてシフトを組みます。
休みの日が週に何回あるかは企業や職場によって異なります。週に休みが1日ということもあれば、週に休みが3日あることも考えられます。4週8休制の職場は、年中無休の病院や薬局、ドラッグストアで採用されていることが多いでしょう。
薬剤師が土日休みを取りやすい職場は?
薬剤師は職場によっては土日休みが取りにくい職種といえます。平日に仕事がある人は土日に病院を受診したり、ドラッグストアで買い物をすることが多いためです。
薬剤師が土日祝日をきっちり毎回休みたい場合は、職場選びが重要だといえます。一般的にシフト制の職場は土日休みが取りにくい傾向があります。土日休みが取りやすいのは、完全週休二日制の企業であることが多いです。
- 製薬会社
- 一般企業(研究・開発職など)
- 一部の病院やクリニック
- 土日は休診している病院の近くにある薬局
- オフィス街にある薬局
製薬会社や一般企業で働く薬剤師の場合、土日休みが取得しやすいでしょう。ただし学会や研究会が土日に開催される場合、休日出勤を求められることもあります。休日出勤には代休や振替休日の制度が設けられていることが多いので、そうした制度を活用して休日を取得しましょう。
病院やクリニックで働く薬剤師の場合、土日は休診の職場に就職すると休みが取りやすくなります。土日のいずれかは診療日である職場や、隔週で土日も診療をしている職場もありますので、診療スケジュール次第で病院薬剤師の休日は変わります。注意したいのは、病院の経営方針が変わると診療日が増えることがある点です。
薬局では、土日が休診の病院の近くやオフィス街にある店舗の場合は、土日休みが比較的取りやすくなります。これは、病院が休診であれば処方せんを持ってくる患者さんが少ないこと、オフィス街が賑わうのは土日祝日よりも平日であることからです。
次章からは、調剤薬局、ドラッグストア、病院(医療施設)、製薬会社ごとの、薬剤師の土日休みについて解説します。
調剤薬局薬剤師の休み
調剤薬局の場合、曜日固定の完全週休2日制またはシフト勤務の完全週休2日制を採用している職場が多いです。つまり、週に2回の休日は取れるがカレンダー通りとは限らない、という勤務形態が多いといえます。たとえば曜日固定の勤務形態では、日曜日と平日のいずれか1日が休みであるパターンなどがあります。シフト制の勤務形態では、どの曜日が休みとなるかは予測しづらいこともあるでしょう。
土日休診の病院またはクリニックの近くにある調剤薬局では、土日が休みという職場もあります。
ドラッグストア薬剤師の休み
ドラッグストア薬剤師は、薬剤師の中では土日休みが取りにくい傾向があります。これはドラッグストアではシフト制を採用していることが多いためです。特に年中無休の店舗や24時間営業の店舗は、勤務時間帯が日によってバラバラになる可能性も高いでしょう。年中無休の店舗では、年末年始にも出勤しなくてはいけない可能性もあります。
調剤薬局併設型のドラッグストアで調剤専門の薬剤師として採用された場合は、調剤室の営業時間内でシフトが組まれますので、比較的休みが取りやすいこともあります。
病院薬剤師の休み
病院薬剤師が土日休みを取れるかは、勤務先によって大きく異なります。多くの病院薬剤師は4週8休制で働くことが多く、土日休みを取ることは簡単ではありません。一方で、病院によっては土日を休診としていることもあり、土日休みを取りやすい病院薬剤師もいます。土日休みを取りやすいのは、慢性期病院や療養型病院です。総合病院や救命救急部門のある病院は土日休みを取りにくいでしょう。
製薬会社や企業の薬剤師の休み
製薬会社や治験関係企業(CROなど)で働く薬剤師は、土日休みが取りやすくなります。企業内診療所を設けている一般企業で働く薬剤師も、その企業の営業日以外は休日となります。製薬会社や企業で働く薬剤師は、土日休みのほか祝日など年末年始も休日を取得しやすいのがメリットです。
薬剤師が土日休みを確保するための転職のポイント
薬剤師として働きながらカレンダー通りの土日休みを希望する場合、転職によって土日休みの確保が叶えられることもあります。土日休みを確保するためには、次のポイントを意識して転職先を探しましょう。
- 完全週休2日制かどうか
- 薬剤師の人数が不足していないか
完全週休2日制の職場で、薬剤師の人数がしっかりと確保されている場合は休みを取得しやすい職場である可能性が高いです。さらに、職場ごとに次のポイントを確認してみましょう。
調剤薬局薬剤師
- 土日休診のクリニックに近い店舗かどうか
- オフィス街の調剤薬局かどうか
ドラッグストア薬剤師
- 年中無休営業または24時間営業かどうか(該当する場合、土日休みを取るのが難しい)
- 調剤薬局併設型のドラッグストアの場合、調剤室の営業時間はどう設定されているか
病院薬剤師
- 休診日はどのように設定されているか
- 慢性期病院や療養型病院かどうか
製薬会社や企業で働く薬剤師
- 会社の営業日はどのように設定されているか
- 独自の休暇を導入しているか(導入しているとさらに休暇を取りやすい)
パート・アルバイト、派遣は土日休みを取りやすい?
土日休みを取得しやすくする方法に、パートやアルバイト、派遣として働くという方法もあります。パートやアルバイト、派遣の場合は、正社員と比べると勤務する曜日や時間帯、仕事内容に制限が設けられていることが多いです。土日を除く週三回勤務など、土日出勤のない求人を見つけやすくなります。ただし、正社員と比べると年収が低めになったり、キャリアアップが難しくなるというデメリットもあります。勤務時間によっては社会保険の加入や福利厚生を受けられないこともあるでしょう。
正社員にこだわらない場合、土日の休日確保を優先してパートやアルバイト、派遣という雇用形態での勤務を検討するのもおすすめです。一定の条件を満たす場合は、社会保険の加入や有休取得などが認められますので、転職先候補の職場にしっかりと確認してください。
薬剤師が土日休み可能な職場への転職を成功させるために
ここまで解説してきた通り、薬剤師で土日休みを確保できる職場は多いとはいえません。製薬会社や企業では比較的土日休みを取得できる可能性が高いです。しかし製薬会社や企業への求人は、調剤薬局やドラッグストアと比べると少なめです。
製薬会社や企業への転職を成功させるポイントとなるのは、採用担当者にアピールするためのスキルや経験を持っているかどうかです。年齢を重ねてからの転職の場合は、マネジメントスキルや高い専門性なども求められます。求人数の多い調剤薬局やドラッグストアでは、土日休みを取得できる職場が多くはありません。ただし、店舗の立地や薬剤師の人員数によっては土日休みを取得しやすい職場もあります。
病院薬剤師で土日休みを希望する場合は、病院の休診日などを事前調査することが重要です。希望に沿った転職を叶えるためにも、転職に向けたスキルアップや企業研究をしっかりと進めておくのが安心です。転職活動の効率的な進め方を知りたい場合は、薬剤師転職サイトや転職エージェントを活用し、疑問を解消するのもおすすめです。
おわりに:薬剤師の勤務形態は職場によってさまざま!転職成功のためには準備を怠らずに
薬剤師で土日休みを確保できる可能性が高いのは、製薬会社や企業です。土日休診の病院も休みを取りやすく、そうした病院の近くに位置する薬局やドラッグストアも土日休みを比較的取りやすいでしょう。正社員からパートやアルバイト、派遣へと雇用形態を変えるという選択肢もあります。土日休みを確保するための転職を成功させるには、しっかりと準備しておくのが安心です。
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