20代の薬剤師が転職を成功させるためには、長期的な目線で適切な情報収集をもとに客観的な判断をすることが大切です。年収がそこまで高くない20代でも、キャリア・経験と将来のキャリアプランをうまくアピールできれば、転職で年収アップが目指せます。この記事では、20代薬剤師の転職に役立つ情報と年収アップのポイントについて解説します。
20代薬剤師は転職に不利?有利?|転職のメリットとデメリット
薬剤師は「5年のキャリア・経験を積んで一人前」といわれることがあります。この考え方で見ると、薬学部は6年制になったため「一人前=即戦力」となるのは30歳手前ということになります。
もっと早くに即戦力として活躍する薬剤師もたくさんいますので、この考え方があてはまるとは言い切れませんが、若い薬剤師の転職をあまり歓迎しない層がいることは事実であり、薬剤師が20代で転職することには、メリット・デメリットがあります。
20代で転職するメリットと有利なポイント
20代薬剤師が転職するメリットと転職に有利に働くポイントは「将来の可能性」です。また、3年から5年のキャリア・経験がある20代薬剤師であれば、即戦力としても重宝されます。20代という若い世代は、柔軟な思考力と対応力があり「他社で身につけた仕事の癖」も抜けやすいです。研修も早く進むので、ポジティブな転職理由であれば、転職を歓迎されやすい傾向があります。
公務員薬剤師など年齢制限もある職種・業種もあるので、将来のキャリアプランがはっきりしているなら、「20代で転職」という思い切った決断が、将来有利に働く可能性が高いです。また、慢性的な人手不足である調剤薬局やドラッグストアでは、将来の管理職候補として20代薬剤師をポテンシャル採用しているケースも少なくありません。30代よりも少なめの年収で契約できることも、20代薬剤師の転職が歓迎される理由になります。
- 吸収力・成長力が高く、柔軟な対応力が期待できる
- 将来の可能性が期待でき、ポテンシャル採用の対象になる
- 平均より早く管理職・管理職候補になれる可能性がある
- 異業種・他業種にチャレンジしやすく、キャリアプランを進めやすい
- 年収を低く設定できるため採用されやすい
20代で転職するデメリットと不利なポイント
20代薬剤師が転職で不利になりやすいのは、1〜2年以内の短期間の就業経験しかない場合や、何度も転職を繰り返している場合です。基本的には継続年数=経験年数と判断されやすく、同業種・同職種への転職を繰り返していても十分なキャリア・経験がないと判断される可能性があります。また、「自分のところも長く勤めてもらえない」「忍耐力が低い」とみなされ、採用の優先順位が下がってしまうケースも多いようです。
転職理由をきちんと説明できない場合も注意が必要です。ポジティブで前向きな転職理由をアピールできないと、転職がうまくいきにくく、条件交渉もしにくくなります。また、転職して管理職に就いても、30代薬剤師や40代薬剤師よりも年収が低く設定されることも多いです。年収アップを期待して転職したが、思ったよりも年収は上がらなかったと不満を抱えるケースも目にするので、現状を理解したうえで転職をするようにしてください。「まずは現在の職場の上司と話し合う」という選択肢も頭に入れておくようにしましょう。
- 在籍期間が短い場合、キャリア・経験が足りないと判断される場合がある
- 転職回数が多いと、採用が不利になる場合がある
- 同じ役職に就いても、30代以降の世代より年収が低くなりやすい
- 転職理由がネガティブに受け取られやすいので、アピールに注意が必要
- キャリア・経験によっては、転職の条件交渉がうまくいかない場合がある
20代薬剤師に多い転職理由
20代薬剤師の転職理由も、他の世代の薬剤師と大きく変わりませんが、やりがいや将来への不安、キャリアアップ・スキルアップのため、人間関係などを理由に転職することが若干多い印象です。
人間関係が良い職場で働きたい
20代から30代は人間関係に悩むことが多く、薬剤師業界でも人間関係が転職理由のトップクラスに入ります。薬剤師は、どの職種・業種も少人数なことが多く、人間関係に悩みを抱えると心理的な苦痛も大きく、長期間続くことで心の不調を引き起こすこともあります。また、相性があわない人とのコミュニケーションの経験が少ないため、上司とのコミュニケーションにストレスを感じやすい傾向があります。
仕事には忍耐が必要ではありますが、相性や年齢的なタイミングもありますし、我慢しすぎもよくありません。ただし、20代薬剤師が人間関係を理由に転職をするときは、ポジティブな理由になるようにアピール方法を工夫する必要があります。
20代薬剤師の人間関係に関する口コミ
1年目で辞めたいって思う薬剤師の人達って仕事できないとか慣れないとか人間関係上手くいかないとかが多いのかな私は女性ばかりの職場が嫌だからやめたいけどこの理由私くらいなんだろうな
– れいく @s2Rx2MEVp7n1piT – Twitter
1回ヘルプ来ただけなのに、ちゃんと覚えてくれてたし、「また会えて嬉しい」って言ってもらえた!人間関係も良いし、門前総合病院で勉強になるし、毎日この店舗にヘルプにしてほしい
– つぐ💊1年目薬剤師 @tsugu_yaku – Twitter
やりがいがある職場で働きたい
20代の薬剤師は、新卒時の「初めての就職活動」で現在の職場に就職した人も多いです。年収・勤務時間・休日数などの待遇面や会社のネームバリューなど、ぱっと見でわかりやすい求人に応募し、そのまま就職を決めた人もいると思います。気づいたら何を目標に働いているのかわからなくなったり、出世や昇給も望めず毎日同じ作業を繰り返すことに気づいたりして、やりがいをなくしてしまうケースもあるようです。
薬剤師として実際に働くようになり、本来の目標を思い出したり、今まで気づかなかった自分のやりたかったことを自覚することもあります。また、同じ世代の人がどんどん新しい仕事を任せてもらうようになっているのに、自分は以前と変わらない仕事をしていると「他の人との比較」でやりがいを見失うケースも多いです。
残念ながら、どの業界も「やりがいを感じにくい職場」というのはあります。薬剤師は資格を求められる業種なので、他の業種よりも転職しやすいです。環境を変えてやりがいを感じられるようになるのであれば、転職が将来のキャリアアップ・ライフワークバランスに役立つことになるでしょう。
20代薬剤師のやりがいに関する口コミ
弊社はやりがい満点、患者第一、定時に上がりお休みもたくさんなぴかぴか真っ白な会社でございます、みんなと働けて幸せだーい😀♡
– せろり🫑薬剤師 @celery_phh – Twitter
楽しくなくても、せめてやりがいのある仕事なら、朝起きてこんな憂鬱にならんのだろうか😭 たまにいらっしゃる独立した薬剤師さんとかで今日も頑張る!みたいなこと書かれてるのみると、頑張れって思うし、やりがいあっていいなって尊敬します😭卸にやりがいある人いてますか😭笑
– くみ🤰MS @CPcbA27QU0dLFx7 – Twitter
年収アップできる職場で働きたい
できるだけ年収が高い職場で働きたいと思うことは悪くありません。ただし、比較的年収が高い薬剤師であっても、20代のうちに大きく年収がアップすることは基本的にはあまり多くないでしょう。今現在の年収が低いというより、将来も年収アップが見込めないことに悲観して転職を考える20代薬剤師が多いようです。もちろん、実際の労働内容や勤務時間、待遇などを考慮して、明らかに年収が低いことに不満を感じ転職を考える人もいます。
現在の年収に満足できないからと20代で短絡的に転職することはおすすめできませんが、明らかなブラック企業であったり、似た環境の20代薬剤師よりも明らかに年収が低かったり、この先も年収アップが見込めないことが予想できる場合は、20代であっても転職を検討しても良いでしょう。冷静な判断ができるように、まずは知人や友人の薬剤師・先輩の薬剤師に相談したり、薬剤師転職サイトの担当者に年収の相場を確認してもらうことをおすすめします。
20代薬剤師の年収に関する口コミ
今の薬局、もう辞職しよかな 8万近く稼いで手取り2万6千でその辺のバイトより低賃金、何よりストレス。もう薬剤師なんかやりたくない
– ぺぺ @pepe_peony21 – Twitter
大学の後輩ちゃん(新卒1年目) 薬剤師として業務が全てできるようになるまで、薬剤師手当つかないらしくて今手取り20万切るって😨😨😨そして全教育が終わるのは10月ごろらしい😱どこもそんな感じですか?
– RYO-りょう🇨🇦カナダで薬剤師になる漢 @ryochannel0111 – Twitter
スキルアップ・キャリアアップできる職場で働きたい
個人で研修会や勉強会、セミナーに参加することも大切ですが、仕事が忙しくて参加できず、なかなかスキルアップ・キャリアアップできないと悩んで転職を考える20代薬剤師もよく目にします。きちんとした研修制度・教育制度がある職場の方が、薬剤師としてスキルアップ・キャリアアップしやすいです。スキルアップ・キャリアアップのために個人の努力は必要ですが、自分と相性の良い労働環境でサポートしてもらえる職場があるなら、転職を検討してみても良いかもしれません。
最近の薬剤師は、調剤スキルだけでなく、コミュニケーションスキルや接客スキル、マネジメントスキルなどのビジネススキルも求められるようになってきています。ビジネススキルを身につけることで、年収アップやキャリアアップをしやすくなるので、薬剤師スキル以外のスキルを身につけることを考え、転職先を検討することも大切です。
20代薬剤師のスキルアップ・キャリアアップに関する口コミ
これからは相手に寄り添う力が大切になります。聴くだけでは足りない、しかし解決策を提供することは逆効果。相手が自力で何とかしようと考えて動くまで寄り添って付き合うことが人間関係をさらに強くするスキルです。午後からもわくわくニコニコで😆
– カズ💊アウトプット薬剤師 @Kazutoshi_Hat – Twitter
今日はスキルアップのための研修会さんかです!!同世代の人も多くて安心ε-(´∀`*)ホッ
– 薬剤師のゆたまる。 @y_oo0704 – Twitter
労働環境・待遇を良くしたい
「労働条件などの待遇面が聞いていたものと違った」「想像していたよりも激務だった」など、働く環境が悪く、福利厚生や待遇が良くないことなどが理由で転職を考える20代薬剤師は多いです。薬剤師は「閉じられた業界」という側面もあり、サービス残業や休日出勤の強制など、いわゆる「ブラック企業体質」の職場に失望して転職を考える薬剤師も少なくありません。
短絡的な転職はおすすめできませんので、友人や薬剤師転職サイトなどで情報収集をするなどして冷静な判断をして欲しいですが、より良い労働環境を求めて転職することもキャリアアップの一環になります。特に、心身に大きな負担を与えるような過酷な労働環境であるなら、早めに転職を検討することをおすすめします。
20代薬剤師の労働環境・待遇に関する口コミ
病院薬剤師、ここはめちゃくちゃ待遇良いし立場も強いの理解してるけれどつまらなすぎるな
– ぺんぎん @pentaras_ – Twitter
病院の上層部も医師と看護師ばかりですもんね🥹薬剤師の待遇全然良くならない…
– ミナル|おくすり学部6年生 @minaru_ph – Twitter
20代薬剤師の転職成功のポイント
20代薬剤師も転職を成功させるポイントは共通しています。将来のキャリアプランを考え、そのプランに沿うように転職の目的を明確にし、譲れない条件を絞って交渉を進めることが大切です。コネクションや薬剤師転職サイトなどの力を借りることも、転職を有利に進めることに役立ちます。
転職の目的
薬剤師に限らず、転職活動では「転職の目的を明確にする」ことが大切です。転職の目的がはっきりしていないと、自分に適した求人を探しにくいですし、数多くの求人から適した求人を絞り込むこともできません。「転職したけど思っていた職場と違った」というミスマッチ転職が起こりやすく、短期間で転職を繰り返す自体に陥る原因にもなります。
転職の目的を明確にすることは条件交渉にも関わってきます。自分を見つめ直す機会にもなりますので、自分のキャリア・経験を棚卸ししながら、転職の目的と希望の転職先の条件をしっかり考えてみてください。
将来のキャリアプラン
将来のキャリアプランを明確にすることは条件交渉や求人の絞り込みの際に必要ですし、転職先へ自分の魅力をアピールすることにも役立ちます。特に、未経験や経験不足の職種・業種へ転職するときの「ポテンシャル採用」を希望する際は、キャリアプランのアピールが特に大きく左右することもあります。また、管理薬剤師などの管理職への転職を希望する場合は、転職先でのキャリアプランをアピールできるようにしておきましょう。
ポジティブな転職理由
どの年代の転職にも共通しますが、転職理由がネガティブなものだと転職が難しくなりやすく、条件交渉もしにくくなります。応募書類の内容や面接時の対応は、ポジティブな印象を与えるものになるように工夫してください。薬剤師転職サイトの担当者など、プロに相談することをおすすめします。
転職先の状況を確認する
20代薬剤師の転職は、労働環境が理由になることが多いです。待遇面だけでなく、働く場所の環境・人間関係・福利厚生・通勤環境など、できる範囲で転職先の状況を調べておきましょう。友人・知人などに聞いても良いですが、20代ではそこまでコネクションも多くないかもしれません。薬剤師転職サイトの担当者が調べてくれる場合もあるので、まずは相談してみましょう。職場見学が可能な場合は、積極的に活用してください。
短絡的な転職は控える
20代は血気盛んな時期でもありますし、他の人と比べてコンプレックスを持ちやすい世代です。理想が高く、現実とのギャップを強く感じやすい世代でもあるでしょう。短絡的な転職はキャリア形成の障壁になりますし、ポジティブな転職理由のアピールが難しくなる場合もあります。可能なら1年以上のキャリア・経験を積んでから転職を考えることをおすすめします。
雰囲気や他人の意見に流されない
20代は十分「大人」である年齢ですが、まだ業務経験・人生経験が十分ではない世代です。適切な判断ができる能力は持っていても、自分の考えに自信が持てなかったり、他人の意見やノリや勢いに流されてしまうこともあります。周囲の意見を参考にすることは大切ですが、全ての意見が正しいわけではなく、自分に適しているとは限りません。他人の意見を鵜呑みにするのではなく、自分自身を向き合いながら優先順位を設定し、信頼できる情報をもとに客観的に判断しましょう。
薬剤師転職サイトに登録する
薬剤師の転職先は、調剤薬局・病院・ドラッグストア・製薬会社・一般企業など、多岐にわたります。ある程度のキャリア・経験のある20代薬剤師は、求人数が多いです。自分自身で全てを確認して求人を絞り込むことは、かなり手間がかかる大変な作業です。薬剤師転職サイトに登録すれば、自分に合う求人をピックアップして紹介してくれますし、通常では見つけられない非公開求人やオーダーメード求人を紹介してもらえます。
応募書類の作成や面接対応のサポートもしてもらえるので、初めての転職のときには特におすすめです。非公開求人の内容は転職サイトごとで異なるので、複数の転職サイトに登録することをおすすめします。
20代薬剤師の平均年収
薬剤師は、20代から年収400万円以上を実現できる、比較的年収が高い部類の職業です。厚生労働省の「令和3年度賃金構造基本統計調査」によると、20代薬剤師の平均年収は約426万円であり、20代前半の平均年収が約378万円、20代後半の平均年収が約473万円になっています。
20代の薬剤師が年収アップを目指すには、以下の方法でキャリアアップ・スキルアップをするのがおすすめです。また、土日出勤や残業・深夜勤務などが多いドラッグストアや基本給が高いMRにキャリアチェンジすることでも年収アップが目指せます。ただし、ドラッグストアやMRは、基本的には「激務」とされる職種・業種になるので、その点は十分理解した上で検討しましょう。また、以下の方法をとっても、転職すると一時的に年収が下がる場合があります。年収アップについても、長期的なキャリアプランのもと判断することが大切です。
- 管理薬剤師を目指す
- 認定薬剤師・専門薬剤師の資格を取得する
- 英語力やコミュニケーション力などのビジネススキルを身につける
- 製薬会社などのMR、ドラッグストアへ転職する
- 年収・時給が高い薬剤師不足の地域へ転職する
- 副業を始める
おわりに:30代ほどではないが20代薬剤師も転職は有利。長期的なキャリアプランの形成が大切
年収が高いといわれている薬剤師も、20代前半はそこまで年収が高くありません。年収アップ・高待遇の転職を目指すなら、ある程度のキャリア・経験を積んだうえで、より魅力的なアピールができるように工夫することが大切です。未経験や経験不足の状態で転職する場合は、応募書類や面接対応のアピール内容がさらに大切になってきます。長期的なキャリアプランを明確にしたうえで、薬剤師転職サイトの担当者などの「プロ」と相談しながら、自分に合う求人を絞り込み、転職を成功させましょう。
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